テーマ
こども本の森 遠野は、13のテーマに沿って本を配架してあります
絵本や児童文学、幼年童話を中心としながら、図鑑や写真集、アートブック、海外の本など、世界の多様さを反映するこの本棚は、きっとどんな年齢の方にも新しい発見をもたらしてくれるはずです。
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入口すぐの本棚に並ぶのは、「本の森」が建つこの地「遠野」に関する本や、「東北」の文化や習慣に関する本たちです。柳田國男が聞き書きして残した『遠野物語』や、民俗学の系譜、そこに登場する妖怪たちの本を充実させました。また、東北地方一帯を襲った「東日本大震災」の記録・記憶など、忘れてはならない郷土の来歴もこの書架に集めます。
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「遠野」は豊かな自然に囲まれた土地です。このテーマでは、花々や植物、木々、森や山、川や海、風、空の色から天体など宇宙まで、あらゆる自然環境について深く知るためのジャンルです。また、山登りやアウトドアでの生活など、自然との関わり方について知るための本も揃えます。
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サッカーや野球、ダンスは好きだけど、本は読みたくない。そんな彼ら・彼女らにこんなテーマはいかがでしょう? 様々なアスリートの自伝やスポーツのルールブック、技術書を集めました。また、そこからの派生で、人の体について知る本やウイルスや細菌について深く学べる本など、身体やハンディキャップについて想像する根幹を育てます。
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こどもたちは動物が大好きです。犬や猫など身近なペットから、ライオンやクジラ、鳥、魚、昆虫など世界各地の生き物たちに関する絵本や児童文学、図鑑、写真集などを集めました。また過去に生息していた恐竜や幻の生物など、陸・海・空、過去・未来の生きとし生けるものに関する本が集まります。
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日々の生活についてこどもたちに考えてもらうためのテーマです。暮らしの中で気になる友達とのつきあい、学校のこと、家族との関係など日々の不思議や疑問に対するヒントをくれるような本を集めます。1年365日のなかで起こる誕生日やクリスマスなど、楽しいイベントの本も充実しています。
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誰にとっても身近な「食べる」ことについての本棚です。日本料理の歴史や米づくり、発酵の仕組みに関する本もあれば、実際に料理を作るためのレシピやマナーブック、食材や料理に関する本、台所道具に関する本、食育本など、あらゆる角度から日々の「食べる」について考える本を揃えます。
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日本や世界に対する好奇心を誘発する本を集めます。紀行文や冒険譚など旅の本を中心としながら、日本の文化、さらには世界の文化に興味を持ってもらえるような本を揃えました。また、そこに暮らす未だ会ったことのない友人たちの文化について知ることができる本もあります。加えて、世界各国の大使館から寄贈を受けた貴重な本も並びます。
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絵画や彫刻などのアートの分野はもちろん、映画、音楽、建築、デザイン、写真、ファッションなどの幅広い芸術文化をこどもたちにも分かるよう届けます。また、宝石や幾何学(数学)など、多種多様なジャンルからこの世に存在する「きれい」を集めます。いろいろな角度から「きれい」の在りようを知ってもらうための本棚です。
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このテーマは、物語と言葉についての本を集めたジャンルです。ずっと読み継がれている物語や昔話、寓話などに浸れば、未知なる誰かの感情に心を重ねることができるでしょう。また、言葉の重みや繊細さを感じてもらえるよう、詩歌や辞典など道具としての言葉に対する考えを深める本も選びます。
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これからやってくる社会がどうなるのかを想像するための本を集めました。ロボットやAIなどテクノロジーに関する本やのりものの本、SFや未来予測など、世界の流れを見通すためのジャンルです。一方、過去を振り返るための歴史を学ぶ本や戦争に関する本もこの棚に入ります。
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こどもたちが、どんな大人になっていきたいのかを考えるための本を集めました。世の中のこと、将来の仕事について、お金の意味、進路の選び方など、希望に満ちたこれからの時間について考えていくためのテーマです。
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こどもにとって、最も遠いものである「死」を意識することで、逆に生きていることの実感が湧いてくるのではないでしょうか。生・死を扱った絵本や物語を、前向きな一冊として包み隠さずこどもたちに届けます。また、生きるものが平等にもつ人権についての本や、それを蔑ろにされてきた人びとの苦しみを理解するための本も揃えます。
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このテーマは、こどもの近くにいる大人のための本を集めます。出産や育児、教育に関する本、親としての振る舞いやこどもとの距離感にまつわる本を選びます。産後うつや不登校、発達障害など、子育ての不安が和らぐ本も揃えることで、大人の悩みにそっと寄り添います。
ブックディレクター
「こども本の森 遠野」に所蔵された本を選書してくださったのは
ブックディレクターの幅允孝さんです
- 写真:藤田一浩
- 幅 允孝
人と本の距離を縮めるため、公共図書館や病院、動物園、学校、ホテル、オフィスなど様々な場所でインタビューワークをベースにした選書やその差し出し方に留意したライブラリーの制作をしている。最近の仕事として札幌市図書・情報館の立ち上げや、那須塩原市図書館「みるる」開館のお手伝い、ロンドン・サンパウロ・ロサンゼルスのJAPAN HOUSEなど。2020年7月に開館した安藤忠雄建築の「こども本の森中之島」ではクリエイティブ・ディレクションを担当。兵庫県城崎温泉の出版NPO「本と温泉」プロジェクトに関わるなど、近年は本をリソースにした企画・編集の仕事も多く手掛ける。早稲田大学文化構想学部、愛知県立芸術大学デザイン学部非常勤講師。